■はじめに ■ビリンバウの歴史 ■ビリンバウの種類 ■カポエイラのトーキ |
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1. グンガ、メジオ、ヴィオラ 2. 3本のビリンバウはいつから? |
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3本の組み合わせのうちもっとも低いものをベハ・ボイ(berra boi)と呼ぶ場合がありますが、これは文字通り牛がモーと鳴く声をイメージしていて、グンガよりさらに音の低いビリンバウを指します。この場合には、ベハ・ボイ、グンガ、ヴィオラという組み合わせもありえます。 |
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これら3種類のビリンバウには、それぞれ役割分担があります。すなわちグンガが全体のベースを司り、メジオがそれを補強し、ヴィオラが小刻みな連打で彩りを添えるというものです。一般的な原則として、例えばグンガが●▲「トン・チン」というベースを弾くとき、メジオはそれを反転させた▲●「チン・トン」というベースを重ねます。ここでまずこの2本にハーモニーがあることが大切です。さらにその上にヴィオラが、そのどちらかをベースとした自由なヴァリエーションを重ねることで、リズム全体のボリューム感が増します。 |
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映画『Vadiação』のワンシーン 2本のビリンバウ、1枚のパンデイロが見える 手前で顔が隠れているのがヴァウデマール。 パンデイロはメストリ・トライーラ 1940年代に写真家ピエール・ヴェルジェ(Pierre Verger)がバイーアのカポエイラを撮影した数々のスナップでは、ビリンバウの数は1本から4本と様々です。パスチーニャと同世代か少し前に活躍していたノローニャ(Noronha: 1909-1977)、マレー(Maré: 1984-1974)が登場する映画『Dança de Guerra』(Jair Moura監督、1968年)では、ジョアン・ピケーノとジョアン・グランジのバックで演奏されていたのは4本のビリンバウと3枚のパンデイロでしたし、ビンバ(1899-1974)やヴァウデマール(1916-1990)が出演した映画『Vadiação』(Alexandre Robatto監督、1954年)ではアンゴラのヴァウデマールもヘジオナウのビンバも2本のビリンバウと1枚のパンデイロという組み合わせで弾いています。さらには1963年にフランスのテレビ局が撮影した当のパスチーニャのグループのデモンストレーション映像でも、ビリンバウ2本、パンデイロ2枚、アゴゴ1本という編成でした。 パスチーニャのグループのデモンストレーション映像 右のビリンバウ奏者がメストリ・パスチーニャ |
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一方3本のビリンバウが見られる資料としましては、1941年にフランス人写真家マルセル・ゴテロ(Marcel Gautherot)が撮影したサルヴァドールのカポエイラ・スナップにヴァウデマールと弟子たちが3本のビリンバウと2枚のパンデイロで写っています。またカポエイラやカンドンブレなどバイーア文化に造詣の深い画家カリベ(carybé)が1955年に描いた版画、1956年に発行されたオランダの新聞記事は、どちらもヴァウデマールのカポエイラ小屋(Barracão do Waldemar)を取り上げていますが、ここには3本のビリンバウと2枚のパンデイロが見られます。さらに60年代の後半にアンゴラ人のネーヴィス・イ・ソウザ(Albano de Neves e Souza)が描いた「カポエイラのバテリア」と題するスケッチには、パスチーニャのアカデミアが描写されていますが、ここでも3本のビリンバウと2枚のパンデイロが見られます。アゴゴ、ヘコヘコ、アタバキは見られません。 50年代のメストリ・ヴァウデマールのカポエイラ小屋 |
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したがって今日の多くのカポエイリスタたちが「伝統的な」バテリア構成と信じているビリンバウ3本、パンデイロ2枚、アゴゴ1本、ヘコヘコ1本、アタバキ1台という組み合わせは、1950年、60年代に至ってなお決定的に厳格な決まりごとではなかったと見ることができます。おそらく70年、80年代を通じてバイーアのアンゴレイロたちの中で定着してきたものが、その後のカポエイラ普及の過程でブラジル全土に広まっていったものと思われます。ということは、せいぜい私たちの年齢と同じ程度の歴史ということですね。 |
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